「進行係」役と「未来の精霊」
「進行係」役と「未来の精霊」役の伊藤和晃です。
でも「未来の精霊」の方は「役」と言っていいのかどうか。
すでに舞台をご覧頂いた方はお分かりでしょうが、実は「未来の精霊」は人間が演じていません。
その挙動を、私が語りで描写しているのです。
これがとても大変でして、淡々と喋ってみたり、重々しく語ってみたり、大きく抑揚をつけてみたりと色々と工夫してきました。
無声映画の「弁士」や、人形浄瑠璃(文楽)の「太夫」のような役割でしょうか。
長年続いて来た昴の「クリスマス・キャロル」では初めての試み。
なかなか評判が良いようですが、私としては「いっそ自分が精霊に扮して出た方がずっと楽だ!」とも思ったりしています。

 もうひとつは「進行係」。
こちらは、同期の牛ちゃん(牛山茂)と、後輩のカヨコ(林佳代子)の3人組。
客席と舞台の橋渡し役です。
幕開きに登場し、見ている人達を180年前のロンドンに導きます。
皆さんにリラックスしてもらうため、あまり堅くならないよう、ちょっとくだけた雰囲気で演じています。 

昨年の四国地方の巡演の時。
最初の高知市の舞台で、牛ちゃんが「ご当地ネタ」を仕込みました。
私が「我々はここに何をしに来たんだ?」と聞くセリフがあります。
本来は「クリスマスの本当の過ごし方を知っている唯一の男の話をしに来た」という流れになるのですが、彼はこう答えました。
「カツオの一本釣りに来たんだ」
客席からどっと笑いが起き、和やかな雰囲気になりました。
それに味をしめて、牛ちゃんは他のところでも「ご当地ネタ」を連発。
徳島市では「渦潮を見て阿波踊りを踊りに来たんだ」
松山市では「道後温泉に入りに来たんだ」
高松市では「美味しいうどんを食べに来たんだ」

 と、四国では順調だったのですが、今年の「首都圏ブロック」の巡演では、なかなかご当地ネタが浮かばないようで、私とカヨコを巻き込み、毎回、開演前の楽屋で「今日はどうしよう?」と3人で悩んでいます。

 この間、発声練習の時に、牛ちゃんが「写真を撮ろう」と言い、みっちゃん(宮本充)とスリーショットを撮りました。
その写真がこのブログに載っていました。
なるほど、ここで使うためだったのね。

 なに?私は「ブログは得意じゃないはず」だと?
その通り。
さすが同期、よく分っている。

彼とは、もう半世紀近い付き合いです。
同じ舞台に出た時は、楽屋の化粧前(鏡前)は必ず隣です。
化粧前の並び順は、劇団員になった期の順、同じ期なら「あいうえお」順で決まります。
ふたりは同期で、「い」と「う」ですから、他の人が我々の間に入ることはありません。
半世紀の間、一緒にメイクをしながら、色々なことを話しました。
舞台以外のことも。
もしかしたら、彼は私のことを、私以上に分かっているのかも┉なんて思うこともあります。

我々の期はとても仲が良かったのですが、ひとり去り、ふたり去り、今では彼と金尾哲夫の3人だけになりました。
化粧前で話す会話も、亡くなった先輩の思い出話や、自分達の体のどこが具合が悪いとか、そういうことが多くなってきました。

 おっと、随分と個人的なことを書いてしまいました。
ま、牛ちゃん、お互い体に気を付けて、これからも頑張ろうぜ。

このブログを書いている時点で、大宮での舞台を無事に終えました。残すはあと1ステージ!
王子「北トピア」
さて最後のご当地ネタは?
| 稽古場日記::クリスマス・キャロル 2021 | 13:41 | comments (x) | trackback (x) |

  
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