「ラインの監視」通し稽古の日々
今回のブログ担当は、サラ役の服部です。
さあ、「ラインの監視」初日までもう一週間を切りました。
連日通し稽古が続いています。

舞台稽古だけでなく、衣装を身につけ、ヘアメークもなるべく本番に近い状態での稽古は気分も盛り上がりますね…。
そして小道具もほぼ本番用のものが出揃い…


 舞台はアメリカの大邸宅のリビングルーム。
時代は1940年。
クラッシックでレトロな雰囲気が漂い、セリフ回しもどこか優雅…
 そこで今日は少しだけですが、お部屋に飾られている花々をご紹介。

花1
花2

花3


毎日取りかえるのでしょうね、アッパークラスのお宅では…。
客間はまたもっとゴージャスな花々を用意するのでしょうが、家族団欒のリビングルームには、気持ちをリラックスさせる可愛らしいお花がさりげなく置かれていています。
役者は衣装や小道具にずいぶん助けられて演じていますので、こういった一見目立たないお花にもふっと癒される瞬間があるのです。
 それと…演技で実際に使われるテレフォン!
色といい形といい…素敵でしょう?
どんなシーンで使われるかは…お楽しみ!

 あと稽古場での通し稽古は3回ほど…!
本番に一番ベスト場状態に持っていけるかが勝負ですね!
気合入ってますよ~。
皆様どうぞご期待くださいませm(__)m
 
追伸:今日は後輩の舞山さんに、ヘアスタイルをお願いしました。
当時は髪をねじりながらアップにしていくスタイルが多かったようです。
服部さん

| 稽古場日記::ラインの監視 | 22:08 | comments (x) | trackback (x) |
「ラインの監視」「思考と決断」
本日のブログ担当 高草量平です。
今日から全体を通して稽古する事で個々の登場人物の役割がより際立ってきました。

この「ラインの監視」という作品の大きな潮流はヨーロッパ情勢とアメリカという大きな社会情勢の差にあると思います。
登場人物は1940年。
裕福なアメリカ人とドイツから来た亡命者である家族。
登場人物は劇中で様々思考をし、決断をしていきます。

その決断を目の当たりにして説得を試みる人、受け入れる人、、
そして人間にとっては究極とも言える選択をする人、、。
まさにドラマ目白押しの作品です。

本番まであと数日。
音響も入り、よりドラマの効果を増してきました。
出演者も台詞を思考し決断してます。
劇場でどんな思考が交錯するのかお楽しみ下さい。
| 稽古場日記::ラインの監視 | 22:28 | comments (x) | trackback (x) |
「ラインの監視」お酒の話
今回は大人の芝居には欠かせないお酒の話です。

西洋の戯曲には必ずと言っていいほどお酒が出てきて、登場人物の気持ちを盛り立てたり鎮めたり、少なからず影響を与えます。

『ラインの監視』の舞台であるファレリー邸には色々なお酒が揃っています。

今回はその中のいくつかを紹介しましょう。


まずは「シャンペン」



「シャンパン」、「シャンパーニュ」とも。
日本では比較的「シャンパン」と呼ばれることが多い気がしますが、『ラインの監視』には「シャンペン」と言う名で登場します。

「シャンペン」はフランスのシャンパーニュ地方特産の発泡ワインです。
泡が非常に細かいことが特徴で、1919年にフランスで定められたAOC(アペラシオン•ドリジーヌ•コントロレ。原産地呼称統制法)により、シャンパーニュ地方で生産されたブドウを用い、決められた製法で作らなければ「シャンペン」という名称を使うことは出来ません。

ブドウの手積みから始まり、圧搾、一次発酵させ、ベースとなるワインを作り、それらを調合し瓶詰めまでに約5ヶ月、さらに瓶内二次発酵させ、そこから熟成に最低15ヶ月、高級ブランド物だと7年もの時間をかけて、最後にリキュールを添加し出荷されます。
これと同じ製法を用い、別の産地で同じ作られたものはフランス語で「クレマン」、それ以外の産地、製法で作られたものは「スパークリングワイン」と名称されます。

シャンパーニュ地方は要田さん演じるアニーズの故郷「バ=ラン」を用するフランス最北東のアルザス地域圏
とロレーヌ地域圏を挟んで西側にある北東部の地方です。

シャンパン

次は「シェリー」



「シェリー」はスペイン南部アンダルシア地方産の強化白ワインです。
こちらも原産地呼称統制法で定められております。
スペインのワインですが、「シェリー」という名は英語名です。
スペイン語では「ヘレス」と言い、フランス語では「ケレス」と言いますが、皮肉なことに「シェリー」という名が浸透してしまったようです。

強化ワインとは、ワインの発酵途中、もしくは発酵後にアルコール度数の高い蒸留酒を加えてアルコール度数を高めたワインのことです。

「シェリー」は使われる白ブドウの品種によって辛口から極甘口まで多種多様です。
また、他のワインと違いブドウの産地よりも「どこで」「どのように」熟成されたかが重要視されます。

そして、「シェリー」を飲むときには女性は注意が必要です。
ある特別な意味が付きます。

女性が男性と居るときに「シェリー」を頼むと、これは「今夜は帰りたくない」、つまり愛の告白になってしまいます!
これを受けて、男性が女性に奢ると「今夜は離さない」ということになる訳です。

逆に、男性から女性を誘う時は「ポートワイン」。
女性に勧めて飲んでくれれば、「貴方に全て捧げます」ということに。

もしも「ポートワイン」を勧めて、女性に「ブルームーン」を頼まれたら残念ながら振られてしまったということになります。
何故ならば、「ブルームーン」には「できないか相談」という意味があるからです。

ワイン

いかがでしたでしょうか。
お酒には色々な意味もあるんですね。
そう思ってみるとお芝居に出てくるお酒には隠された意味があるのかもしれません。

『ラインの監視』には他にも色々なお酒が登場します。
それらの紹介はまた機会があれば。
あと当然ながら、1940年のアメリカなので日本酒や焼酎は出てきませんよ(笑)

『ラインの監視』に登場するお酒たちの活躍にご期待ください。


研修生 末森・村松
| 稽古場日記::ラインの監視 | 22:19 | comments (x) | trackback (x) |
『ラインの監視』Watch on the Rhine
秋も深まり、『ラインの監視』本番も近づいて参りました。

研修生の山本・福永です。

さて、今回『ラインの監視』の題名にもある「ライン」について探ってみたいと思います。


早速調査!



手がかりは『ラインの監視』英題"Watch on the Rhine"の「Rhine」・・・・


(闇雲に調べると携帯機器アプリケーションで「LINE」ばかり検索ヒットするので……)




ライン【Rhein】
ヨーロッパ西部の大河。スイス東部のアルプス山脈に源を発し、フランスとドイツの国境を流れた後、ドイツ・オランダを経て北海に注ぐ。
古来西ヨーロッパ内陸部の重要な水上運送路。国際河川。古称、レヌス。長さ1,320km。(『大辞林』第三版より)


そう、「ライン」とは川の名前のことなのです!

実はこの川の全長、正しくは1,233km。
既に出版されている辞書等の記載よりも90km短かったということが近年判明しました。

どうやら百と十の位を書き間違えたといううっかりミスが原因で、誤った数字が定着してしまったというのです。

初めてライン川が辞典に記載されたのは1932年、間違いに気付いたのは20世紀初頭、日本でこの事実に関する新聞記事が掲載されたのが2010年ですから、長さだけの歴史も長い。

全長1,233km中なんと約700kmがドイツを流れています。この流域を主軸のひとつとしてドイツ史は展開していくため、ドイツにとって重要な川でした。

故にドイツの方はこの川を「父なる川("Vater Rhine")」と呼んでいるそうです。

特に第一次世界大戦まで国境防衛ラインとして、軍事的役割を果たしていたとのこと。

『ラインの監視』の舞台は1940年、と少しで後になりますが、第二次世界大戦の真っ只中です。

私たちは戦争という出来事を実際に経験したことがありません。歴史の授業や体験談を伝え聞く程度にとどまります。

しかし、『ラインの監視』という舞台を通して、戦争という状況で人がどのように生きてきたか、少しでも知ることができると思うのです。

ファレリー家に娘一家が帰ったきたことで、一体何が起こるのか……

その続きは劇場にて。

| 稽古場日記::ラインの監視 | 13:19 | comments (x) | trackback (x) |
「ラインの監視」意識
「ラインの監視ブログ」今回担当の中村翼です。

今日の稽古はジョーゼフとジョシュアの野球シーンの録音からはじまりました!
前回山口さんのBlogでもありましたが、山口演じるジョーゼフとぼくジョシュアは野球シーンがあります。

録音の時も本当に野球をやっているかのように演じながら録音しました。

録音のあとは、1幕2幕通し、その後3幕を通しました。

最初から最後まで通すことで今まで見えなかったことも見えてきました。

実は僕は一昨日まで学校の移動教室で、京都、奈良に行っていて、昴の稽古を少し休んでいました。

帰ってきていざ稽古に参加してみると、本番が近くなったこともあるのか、皆さんの意識が変わっていて、4日間がどれだけ重いものなのかを痛感しました。

けれど、初心にかえって皆さんに追いついて追いこすぐらい残りわずかの時間、頑張っていきたいと思います。


中村翼

| 稽古場日記::ラインの監視 | 21:12 | comments (x) | trackback (x) |
ラインの監視」「人間が人間であるということ」
「ラインの監視」本日の担当は準劇団員の木村雅子です!!

今回の担当したブログの中で、二回程歴史の話を書きました。

今回は若輩者ですが、人間という生き物について最近考えていることを。

「良心」

という概念は一体何を基準に作られ、なんのきっかけで崩れさるものなのでしょうか。

私は今回の「ラインの監視」の資料集めにあたり、沢山の映画を観ました。第二次世界大戦、スペインの内戦、ほとんどが悲劇ですが、持っているテーマは色々なものでした。


しかし、 どの映画においても共通していたのは、「疑う」という人間の心でした。そこには敵も味方もありません。「疑う」ということについては、自分以外の全ての人間が敵になり得ます。
何でもないシャワーが、ガス室のガス発生装置だと疑わずにはいられなくなります。

誰を信じてよいかわからず、人は人のためを考えることが出来ず、自分が助かることだけを考えるようになります。そして、自分が利益を得るために他人を売り始める人も出てきます。

人間を人間とするものは何なのかは、まだ私には分かりませんが、「疑い」だらけの世界の中で、人間でいるために必要なことを、この「ラインの監視」の稽古の中で幾つか見つけました。

石田さんの演じます、クルト・ミューラーという人は間違いなく「人間」でいられた人でした。

昨年の本公演「汚れた手」の主人公ユゴーとは、正反対の人間であることは確かです(笑)


さあ、11月に入って参りました!!

本番まであと12日!!!!

写真は稽古場より、自主稽古中の先輩方をパシャリ。

先輩


木村雅子

| 稽古場日記::ラインの監視 | 10:04 | comments (x) | trackback (x) |
「ラインの監視」「じゃがいもの監視。」
本日は研修生白倉、広瀬でお送りします!



秋も、いよいよ深まり、冬の姿が、ちらちらと見え隠れし始めて来ましたね。

秋と言えば「スポーツの秋」に「読書の秋」と様々ですが、やはり注目すべきは「食欲の秋」でしょうか。
梨などの美味しい果物もそうですが、ホクホクのお芋も捨てがたいですね。


実は「ラインの監視」にも美味しいお芋さんが出て来るのです。
その名もポテトケーキ。
舞台となるアメリカではポピュラーなお料理で、ベーコンや玉ねぎを混ぜたおかず系から砂糖をまぶして焼いたスイーツ系など形も様々。

ポテトケーキmaYma


ポテトといえばじゃがいも、じゃがいもといえばドイツ!

…そういえば、ソーセージやビールはわかりますが、なぜドイツといえばじゃがいもなのでしょう?



そもそもじゃがいもの発祥地はペルー南部のチチカカ湖周辺。
そこからスペイン人が、ヨーロッパ諸国へと持ち込んできたようです。
ドイツで初めてじゃがいもが栽培されたのは1647年頃。
フランケン地方で栽培されたのが最初だとか…
1649年にはベルリンでも栽培が始まります。


実はじゃがいもは最初は観賞用として育てられていました。
それを食用として広めたのはフリードリッヒ大王を含むドイツ・プロイセンの大王達です。
フリードリッヒ大王は兵士たちに、満腹万全の状態で戦いに挑めるように“じゃがいも宣伝“という政策までしました。
“じゃがいも宣伝”のおかげで、ドイツ・プロイセンは7年戦争の食料難すらも乗り越えたのです。




“じゃがいも宣伝”というからにはどんな宣伝をしたか気になりますよね…。




先程書いたように、フリードリッヒ大王は食糧難をまぬがれる為、農民たちにじゃがいもを普及させようとしました。
しかし、プロイセンでは農民たちは知らない作物は食べない作らない、というのが常識でした。


そこでフリードリッヒ大王は自らじゃがいもを主食にし、農民たちに「フリードリッヒ大王は“じゃがいも”という作物を大量に栽培し、その畑を兵士たちに警備させているらしい」と噂を流しました。

一方、兵士たちには「あまり厳重に警備をしてはいけないぞ」、「眠りこけているように農民に見せるように」という指示を与えました。
兵士たちの本当の役目はじゃがいもを守ることではなく、警備をすることで農民たちにじゃがいもがどれだけ高価な食物であるのか興味を持たせることだったのです!

大王の思惑通りに、農民たちはじゃがいもに興味を持ち、兵士の目を盗んでじゃがいもを畑から盗み、後に自分で栽培を始めたのです。


これがフリードリッヒ大王の“じゃがいも宣伝”です。


他にもじゃがいもには色々な歴史が…皆様も興味が出てきたら調べてみてください。

ちなみに、ドイツではじゃがいもはマッシュして食べるのが基本なのだそう。
サラやクルトも、ドイツではじゃがいもを食べて生き延びていたのでしょうか……



クルト一家が嵐吹き荒れるドイツで、どんな暮らしを送っていたのかは是非劇場で確かめてください!




(じゃがいもにまつわる歴史や伝承には、諸説あります。)
| 稽古場日記::ラインの監視 | 00:15 | comments (x) | trackback (x) |
さてさて「ラインの監視」の稽古も中盤から後半に差し掛かり、段々と熱を増してきました。

衣装合わせまであと数日なので、役者陣の髪型に変化が…

そうなんです!

1940年のアメリカでは、今とはまったく違う髪型が流行っていました。

1940



今みてもオシャレで素敵ですね。

実は1940年はアメリカで映画が流行ってきます。「カサブランカ」はまさに「ラインの監視」の舞台と同じ年、1940年発表の映画です。

余談ですがその6年後の1946年にフランスで「カンヌ映画祭」がはじまったんです。


話を戻しまして…

舞台では衣装と共に髪型もその年代に合わせます。

女優陣にとっては大変!!

長い髪型が流行っている時代では、付け毛をしたり、ショートカットが流行っていれば髪を切ったり、カツラをかぶったりと!!

今回はみんなまずは黒髪から茶髪へ。

私はだいぶ長かった髪を15センチ切り、長年黒髪だった髪をかなり明るめの茶色へ。


舞山黒髪



舞山

ファニー役の久保田さんは茶色のうえにふわふわパーマ!(今日結んでいるのでふわふわがみられなくて残念)

久保田さん


服部さんも茶色になる日が近いのです!

実は…

今回は男性も茶色にします!!
私をはじめ稽古場にいる皆の一番興味は…

金尾さん!

いつも素敵な白髪でカッコ良い金尾さんか今回なんと茶髪に!!

今回はまだ茶髪前の金尾さん。

金尾さん


金尾さんの茶髪写真は次回お楽しみに~( ´ ▽ ` )ノ

そして今日茶髪入りしたのは高草さん。

高草さん茶髪


なかなかのチャラ男ちっくにメッシュな感じ( ̄ー ̄)


どんどん「ラインの監視」の世界に近づいています!


本番までもう少し!
ご予約がまだの方は是非是非ご予約ください!

劇場でお会いできるのを楽しみにしています。


マート役 舞山裕子

| 稽古場日記::ラインの監視 | 20:42 | comments (x) | trackback (x) |
『ラインの監視』〜検索サクサク Luger 〜
ブログ28日担当の要田禎子です。
劇中登場する短銃「ルガー」についてお話しましょう。
このドイツ製のピストルルガーは、ルーガーと発音される事もあります。
台本には「ルーガー」と出ています。
この短銃の最も個性的なところは、トグルアクションと呼ばれる作動方式です。
下記動画をご覧ください。




銃身上部のトグル機構がくの字に曲がって跳ね上がるのがお分かりになると思います。
この独特な動きからルガーは、通称「尺取り虫」と呼ばれます。
排莢口は上に有り、空薬莢は上から弾き出されます。
変わってるー‼️

1908年にドイツ陸軍に制式採用され、'38年に「ワルサー」が制式になるまでドイツ軍を象徴する自動拳銃でした。
但し、トグル機構は複雑で部品数も多く、高い精度が求められる事から量産に向かないばかりか、汚れや砂塵に滅法弱く、日頃の細かなメンテナンスが必須な銃で、最前線の戦場には不向きだったそうです。
生産コストも高かっただろうルガーは、ナチスの将校クラスが大切に持っているイメージがあります。
「ドイツのクラフトマンシップに支えられて機械としての完成度は非常に高く独自だが、武器としてはどーなの?」のルガー、そしてそれを作り続け使い続けたドイツ軍。
その個性的なフォルムと共に正にドイツを象徴しているピストルです。
ここから蛇足です。ルガーの為に造られた9㎜パラベラム弾は、今も多くの銃器で使われていますが、このパラベラムの意味は、ラテン語の"Si Vis Pacem Para Bellum"「平和を望むなら戦いに備えよ」からきているのだそうで、このお芝居の主題とも関わっているのです。

へぇ!そうなんだ!

今回の検索サクサクは、ルガーでした。

『ラインの監視』要田禎子
| 稽古場日記::ラインの監視 | 21:34 | comments (x) | trackback (x) |
見える?」考
ラインの監視』にはアメリカ人、ドイツ人、ルーマニア人、フランス生まれのアメリカ人などが登場します。

さて、我々はそのような西洋の人物を演じるわけです、しかも日本語で。それぞれのお国の違いもさることながら、そもそも私たちは西洋人に見えるのでしょうか?否。絶対に見えません。

新劇の世界では昔の一時期、ノーズ・パテ(付け鼻)で鼻を高くしたり、男性でもハイヒールを履いて足を長く見せたり、メーキャップも厚塗りで彫りを深くして何とか西洋人に似せようとしていました。先人達の涙ぐましい努力に頭の下がる思いです。また仕草においても、手のひらを両方とも上向きに高く上げ、両肩をチョイと上にあげる動作(例:I don’t know.の時など)などを頻繁に使っていたそうです。これなどは役者が相当はまっていないと、観ている方が気恥ずかしくなるような気がしますが、これも何とか西洋の雰囲気を醸し出したいという熱意の表れだったのでしょう。

そして今はどうか?今時の演劇界の風潮は翻訳物を演じる場合、衣装などは勿論それらしい雰囲気のものを着ますが、身体的な西洋人への模倣は余り重要視されなくなってきているようです。その分、佇まいがナチュラルになってきたような気がします。外見的に不自然な人物描写は、却って演劇環境に違和感を覚えさせてしまうという考えでしょう。私も同意見です。

つまり翻訳劇の要諦は、西洋人の外見的模倣(見える?見えない?)ではなく、素材(戯曲)を西洋に借りた普遍的な人間対人間のドラマを演ずるということなのでしょう。チョイと正論っぽくなってきましたが、どの国の戯曲であれいいものはいい。人間という面白くて、悲しくて,可愛くて、時々不可解な存在を的確に深く表現するのがいい演劇なのではないでしょうか。おーっと、益々紋切り型の正論っぽくなってきたぞ。恥ずかしいからもうやめます。

さて『ラインの監視』はどうか?いい戯曲です。天地がひっくり返っても絶対西洋人に見えない私はというと、「見えるとか見えぬとか、そのようなことは知ったことではない」(『ハムレット』第一幕第二場)という台詞に後押しされて、戯曲の中の西洋人を演じています。<人間>が表現できればいいですな、たとえ外人離れした体躯の私でも!さあ!今日も稽古、稽古!


ところで、私は何をしているようにみえます?

金尾さん

金尾さん2

「俺はどういう風に見えるのかなあ・・・?
ストレッチしても足が長くなるわけじゃないしなあ・・・、腹筋しても鼻が高くなったり、小顔になったりするわけじゃないしなあ・・・」

と思いつつ、ストレッチと腹筋を5秒間づつする図でした。


テック役 金尾哲夫

| 稽古場日記::ラインの監視 | 14:38 | comments (x) | trackback (x) |

  
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