アルジャーノンに花束を
チャーリー・ゴードン役の町屋圭祐です。
この舞台、2020年は東北の演鑑連巡演からスタートしました

当初の予定では3月から始まる予定の東北巡演が、新型コロナウイルスの影響で4月に延期されました。
4月1日盛岡公演からスタート、2日秋田公演を行いましたが、その後のスケジュールは全て取り払われ、再度の延期となりました。

そして9月15日、九州演鑑連の巡演が下関からスタート。豪雨被害の影響で、ひとよし・くま公演は中止となってしまいましたが、10月28日長崎公演まで、38ステージを行うことができました。
11月から東北巡演が再開、3日鶴岡公演から27日会津公演まで(途中一時帰京する行程でしたが)、4月の2公演含め計16ステージを終える事ができました。

今年は、新型コロナウイルス禍でたくさんの公演が中止を余儀なくされました。
そんな年に54ステージも舞台に立たせて貰いました。
役者にとって演じる場は生きる糧です。
その場を与えて下さった九州・東北演鑑連の皆さんには、本当に感謝しかありません。

ステージを重ねて行くと、同じ台本を上演していても、作品の質が変遷してゆきます。
作品も、役者も、公演する場があって育っていくのだと、旅を通して実感しました。
個人的にも、チャーリー・ゴードンという役が自分に根付く感覚を持つことができました。「こんなに気負わず、役として生きることができるのか…!」と、未知の経験をさせて頂きました。




そして、12月17日〜20日東京藝術劇場シアターウエストで6ステージが行われました。
東京公演の為の稽古は、三日間だけ。
その内容は、巡演で1000人規模の劇場で行っていた演技を、シアターウエストサイズに圧縮することを主にした稽古でした。
まさに、九州・東北の皆さんに育てて貰った「アルジャーノンに花束を」の集大成の場であったのです。

そして僕の喉が、公演2日目のマチネで壊れてしまいました。
同日のソワレはダミ声になりました。
3日目には高い音が出なくなりました。
千秋楽には息漏れの音しか出なくなりました。


僕が九州・東北巡演を終え悟った事があります。
「誰にも期待しないこと」
長い巡演、キャストもスタッフも、全員が毎公演絶好調ではいられません。
だから僕は、より自分の自立を自覚するプラスの意味で、そう思ったのでした。
周りに期待するな、自分の事は自分で、と。

自立したはずの僕の喉が壊れたのは、ステージ数を重ね喉の疲れが蓄積したからでは決してありません。
乾燥が要因です。
僕の、冬場の乾燥対策が甘かったからです。
「僕は喉は強いのだ」という過信があったからです。オオバカヤロウです。


しかしながら、周りに期待しない僕が喉をやってしまった時、助けてくれたのは、周りの人達でした。

声を奪われ途方に暮れている僕に対し、男性楽屋では、
金子さんが、おこりんぼのニーマー教授とは別人の、優しい声がけで気遣ってくださいました。
宮本さんは喉の秘薬を某ルートから入手してくださいました。
研志さんと三輪さんは、喉に良いマッサージをしてくださったし、
翼さんは「とっておきだよ」と喉の薬やお茶をくれ、また、バートとチャーリーの場面でも影ながらサポートをしてくださいました(真のイケメンとはこうしたものなのです)。
江﨑さんは楽屋の鏡前が隣りだったけど、僕が声が出ないのを解って、一緒に黙ってくれました。
加藤くんは、不甲斐ない先輩を演技で引っ張ってくれました。

しのぶさんは女性楽屋から何度も僕の状態を見にきてくださり、励ましたり、アドバイスをくださり、「喉には肉よ!肉!」とカツサンドを差し入れてくださいました。
大矢さん、市川さん、染谷さん、さくらさん、真理子も、いつも通りの…、いや、時にはそれ以上の演技で僕を引っ張ってくださいました。女優ってスゴイ……

劇団員スタッフの久也さん、落合撤、近藤、笹井は、常に袖に温かい飲み物を用意してくれました。(余計な仕事を増やしてごめんなさい。)
同じく衣装部の新藤は、急遽使うことになった僕専用のピンマイクを、ヘアピンで上手に固定してくれ、のど飴もくれました。

音響オペレーターの今西さんには特にご苦労をかけてしまいました。
かすれて小さい僕の声を拾うため、公演3日目には舞台前面にフットマイクを設置。
千秋楽には、さらに出なくなった僕の声に備え、ピンマイクを仕込んでくださいました。
「バタバタしちゃってごめんねー」と、いやいやその原因を作ってるのは僕なのに…

制作の村上さんは、病院を手配してくださいました…本来の制作業や、毎公演の客席消毒作業もあるのに。
その病院には、代表の荒川さんが付き添ってくださいました…息を弾ませ、事務所から大急ぎで来てくださいました。


まだお世話になった方々はいるのですが、長くなりすぎるので書ききれません。


誰にも期待してなかった僕を、こんなにも多くの人達が助けてくれました。
そして驚くべきことに、誰ひとりとして僕を責め立てる人はいませんでした。
すごいチームです、本当に。
僕は自立などしていませんでした、素晴らしいスタッフの方々とキャスト陣に支えられていたのでした。
そして愚かな悟りはどこかに消え去りました。



東京公演を観にご来場くださったお客さま、申し訳ございませんでした。
観劇したうえで、物語の展開が分からなかったり、登場人物の関係性が見えなかったのでしたら、それは僕の責任です。

しかしながらカーテンコールで、お客さまは拍手を下さいました。
主人公の声はカスカスなのに、ダブルコールまで頂く回もありました。
きっと、僕の不十分なセリフを、お客さまが想像力で補填して下さったのだと思います。演劇のスゴイところは、舞台で起きることと、お客さまとの想像力が融合して完成するところです。

また、この舞台は、チャーリー・ゴードンにだけ感情移入できるわけではありません。
アリス・キニアン先生、芸術家フェイ、研究所の人々、パン屋の人々、チャーリーの家族…お客さまはそのいずれかに共感して下さった。
この舞台は、チャーリーの物語というよりも、チャーリーを取り巻く人々の物語なのだと思います。
そういったこともあって、お客さまは拍手をくれたのかな…。



あらためて、東京公演にご来場下さった皆さま、本当にありがとうございました!
そして九州演鑑連の皆さん、東北演鑑連の皆さん、ありがとうございました!
来年も劇団昴をどうぞ宜しくお願い致します。


2021年、劇団昴は四つの公演が用意されています。
1月20日からはさっそく、「プカプカ漂流記」が上演されます。
……いったい、どんな年になるのでしょう…。良くなるのだろうか。いや、良くなってほしい。

どうか神さま仏さま、劇場でお客さまと役者が思いを共有する場を奪わないで下さい…!
と願ってやみません。

町屋圭祐


| 稽古場日記::アルジャーノンに花束を | 20:48 | comments (x) | trackback (x) |
すばる倶楽部カレンダー
皆様、いかがお過ごしでしょうか?
すばる倶楽部担当の姉崎公美です。
本格的に寒くなって来た今日この頃ですが、昨日、「劇団昴特製カレンダー」が出来上がって参りました。


すばる倶楽部会員の皆様にはすでにお知らせ致しましたが、毎年2月終盤頃に開催しているすばる倶楽部「The Party 」を来年は感染拡大防止の為、中止とさせていただきました。
それに代わる事として、いつもパーティーの記念品としてお持ち帰りいただいている「劇団昴特製カレンダー」を、今回はここ数年間の舞台写真を掲載して作らせていただき、会員さん限定ですが、販売させていただいております。
現在、たくさんのお申し込みをいただきありがとうございます。


まもなく「アルジャーノン…」の本番ですが、会場でカレンダーの見本を見ていただく予定でしたが、会場側から “手で触れるような物販” は禁止されているという事なので、出来上がってきたカレンダーをほんの少しだけご紹介しようと思います。





まず、表紙は今年唯一の公演となります「アルジャーノンに花束を」から一枚選びました。町屋圭祐とあんどうさくらです。

2020年バージョンも何人かキャストが入れ替わりました。その一人、あんどうさくらもコロナ禍の中、初めての旅公演をがんばりました。
同じく表紙には来年の公演予定です。未定の部分もありますが、来年こそはぜひ予定通りに行きたいと祈るばかりです。


今回のカレンダーは2014年~2020年の全公演の舞台写真を掲載!となりました。全公演ってどうやって載せるんですか?と、会員のお一人から聞かれましたので…





たとえば、5月6月のページですが、ここは2016年の公演写真が載っています。
この年はPit昴を本拠地として公演することになった初めての年です。
Pit昴 初の本公演「ヴェニスの商人」から一枚。
他は「街と飛行船」「THE GREEKS」「どん底」 でした。それぞれ思い出深い作品です。
が、ここでお詫びです。2016年の「チャリング・クロス街84番地」ですが、なぜか…なぜか写真撮影をしなかった為、掲載しておりません。大好きなファンも多い作品なのにほんとうにごめんなさい。(この他に2017年リーデイング公演「イノック アーデン」も写真撮影がありませんでした)


このように、若干のアクシデントありながらも各ページ その年の代表的な一枚を少し大きめに、他の作品を少し小さめに掲載してございます。


12月18日が締め切りですが、もし残数があれば締め切り後にも受け付けますので問い合わせてみて下さい。

重ねて、会員限定の販売で申し訳ありませんが、昴の「思い出カレンダー」あなたもおひとつ いかがでしょうか?


すばる倶楽部担当、姉崎公美でした。
(カレンダーの発送はアルジャーノン楽日後になります。ご了承下さい。)
| すばる倶楽部 | 19:01 | comments (x) | trackback (x) |
今週、いよいよ本日です!

先日、稽古場の仕込みとバラシの際に、男性スタッフ陣が「ちびパネル!ちび!ちび!」と連呼していて、ちょっと心にダメージを負ったノーマ役の染谷麻衣です。
(そのあと、近くにいた後輩たちが慰めてくれました。)

さて!
今週、12月17日木曜日から「アルジャーノンに花束を」の東京公演がはじまります。
今回は、先週の稽古のことをちょっとだけ書きたいと思います。

稽古初日。スタッフとスタッフ参加のキャストで稽古場仕込みを行いました。何十ステージと仕込みをしているスタッフ、仕込みが早い!
ですが、稽古場では劇場サイズを測り、バミリをしたりと、稽古場ならではの作業があります。
転換や出はけの段取りもあるので、細かくバミリが貼られていました。

さらに今回公演する東京芸術劇場シアターウエストは、巡演先のホールよりもサイズがコンパクトになるため、装置も芝居も劇場に合わせる稽古を行いました。



稽古では、冒頭のシーンから行い、転換や登退場の確認など、場当たりをしながら進めていきました。
が!問題なければ通す!
と言うことで、どんどん進んでいく!
気がつけば、後半は止まることなく通していました。

今回、舞台サイズの変更により、芝居の密度が上がりました。
それは、客席に芝居が届く距離感でもあり、よりシーンの生活感が伝わる芝居になっています。

稽古最終日には演出の菊地准さんから、
演劇鑑賞会の会員の皆様とのアクション・リアクションによっていい関係を築けたのではないか。より人物(役)が身に染みてきている。
というお話がありました。
何十ステージと巡演をさせていただき、客席の会員さんからたくさんのものをいただき、今の「アルジャーノンに花束」があります。
本当にありがとうございます。
そして、東京公演を心待ちにしてくださっている皆様、ありがとうございます!
今度は、東京で舞台と客席との素敵な交流ができることを楽しみにしています。

この時期、さまざまな制限がありますが、注意を払いつつ、観に来てくださるお客様がこの作品の世界を楽しめるよう、キャスト、スタッフ、劇団員一同、しっかり準備し、皆様のご来場を心よりお待ちしております。




こちら、金子由之先輩です!
先輩が稽古用衣裳で付けていたネクタイが、くまモンのネクタイでした!
稽古場からは以上です!



染谷麻衣
| 稽古場日記::アルジャーノンに花束を | 11:43 | comments (x) | trackback (x) |
『プカプカ漂流記』再始動いたしました!
こんにちは!

今年4月に新型コロナウィルス感染拡大により延期いたしました『プカプカ漂流記』は、2021年1月20日(水)〜1月24日(日)(於:シアターグリーンBOXinBOX THEATER)の上演に向けて、再始動いたしました。 



公演を断念してから8ヶ月半ぶりに、プカプカチーム、演出家、スタッフ、出演者全員で稽古再開致しました。
公演断念を聞いたあの日、その場にいた皆が、そして、公演に力を貸してくださった方々皆さんが、悔しさ、やりきれない気持ちでいっぱいになりました。

この悔しさ、やりきれなさをバネにして、次に上演するときは今よりもっといいものにしよう、と心を新たにしました。

8ヶ月半、自粛中、全員で集まることはなかなか叶いませんでしたが、歌唱指導の笈沼甲子さんのもとで、少人数・マウスシールド・ソーシャルディスタンスをとりながら何度となく歌の練習をしました。
マンツーマンのレッスンもしていただき、歌のレベルは確実に上がっております!

そして、歌とともに今回の公演には欠かせないギターも、ギター指導・堀田篤さんにレッスンしていただき、どんどん上達しています!

稽古開始前には『プカプカ漂流記』座組全員、PCR検査を受けました。
対策をしていても、いつ誰が感染してもおかしくない状況で、皆が陰性という結果でした!!
これで、準備は万端です!

そして現在、

『プカプカ漂流記』、全員集合!

稽古場の入念な除菌、


飛沫防止のマウスシールド、


演出家席のアクリル板、


演出家と演出助手のやり取りはソーシャルディスタンスをとるためワイアレスレシーバーを使って、


換気のためフル稼働の扇風機や、こまめに開放される3枚のドア、などなど、できうる限りの感染対策をしています!




当時のセンセーショナルな見出しの新聞記事。(小道具より拝借いたしました。)

『プカプカ漂流記』は、1970年後半~1980年に実際にあった「イエスの方舟事件」を題材にしたお話ですが、登場人物たちの置かれた不安定な状況や、行き場のない怒りや悲しみは、今現在、コロナ禍に生きる私たちにも通ずるところがあるのではないかと思います。

皆さまにより良い舞台を楽しんでいただくため、今日よりも明日、明日よりも明後日と、稽古に励み、邁進してまいります!

どうぞお楽しみに!

| 稽古場日記::ザ・サード・ステージLABO『プカプカ漂流記』 | 22:03 | comments (x) | trackback (x) |
今回ブログを担当するのは ニーマー教授を演じ続けて ウン10年 金子由之です。
10日ほどの休演の後 再び東北
福島 いわき市へ ホテル フロントで出迎えてくれたのは クリスマス仕様のマスクした赤べこ 愛嬌があり心和む一瞬でした。


本番を翌日に控え 佐藤さん 市川さん 両手に花(笑)で夕食。 市川さんは昔 白虎隊を扱ったドラマでいたく感動したとのこと 話題は白虎隊から新選組そして戊辰戦争へ 正義と信じ戦っていたのにいつの間にか賊軍悪者扱いに〜日頃のおちゃらけもどこへやら ご当地の重みも手伝って 世の不条理さに思わず感慨深けになリました。

アルジャーノンに花束を〜にも似たような不条理さが色濃く漂っています。何が良くて何が悪いのか? 様々な問題提起がありますが 最後まで明快な提示はありません。人間のエゴを痛烈に批判しつつも そんな簡単に答え出ないでしょうと言いたげに 客に投げかけたまま物語は終わります。ちょっとずるい(笑)ですが 普遍的な優れた戯曲なのです。


本番当日の夕刻 ホテルの下で宝くじを求めて長い行列ができていました 居合わせた トラックのドライバー牧野さんによれば 有名な売り場なんだそうです。有名な売り場イコール当たる確率が高いということか?
逃したか 10億!! 買うべきだったか〜今更ながら後悔する金子でした。


ブランク明け 緊張と不安のなかの 再スタートでしたが 劇場は反響も少なく 声の通りもよく 会員の皆さんの反応も手伝って無事終演することができました。
翌日の公演では カーテンコールでなんとスタンディングオベーション!何か励ましを頂いているようで 感謝 感激でした!いわき市の会員の皆さん本当にありがとうございました!


そして遂に迎えた千秋楽 長いと思っていた巡演にも終わりがきました!
会津若松市へ!
劇場名 会津風雅堂 渋い 渋すぎる名称です。
楽屋口を開けるととてつもなく大きい神棚がありました。左に赤べこ 右に天神を従え かなりな威圧感 思わず手を合わせ公演の無事を祈りました。


神棚の神様のお力添えもあり千秋楽も無事終了!
毎度のことながら 安堵と寂しさが交錯する千秋楽 本当は打ち上げといきたいところですがそれもままならず 終了直後 楽屋の廊下でキャストが全員集まって せめてもの拍手! 本当にお疲れ様でした。
コロナ終息後には 飛沫をとばしあって 思いっきり打ち上げをやりたいものです。

そして東京公演を残し 舞台監督 井上 卓さんとは ひとまずお別れです。
関西弁和みました そして芝居中の安心感〜ありがとうございました!
代わって東京公演は 宮下 卓さんが舞台監督に。よろしくお願いします。

思いおこせば 3月の末に中断になった東北巡演 市民劇場の皆さんの尽力で見事再開 公演をやり遂げることができました。感謝しかありません お世話になりました そして本当にありがとうございました。

12月17日からの東京公演
新鮮に新たな気持ちで望めればと思ってます!乞うご期待!

コロナ終息を念じつつ!!

これにて!❢ 
担当は金子由之でした。

| 稽古場日記::アルジャーノンに花束を | 13:30 | comments (x) | trackback (x) |

  
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