人形遣いの人形遣い
「ポーランドの人形遣い」の宮本充です。
今日はスタッフさんのお話を。
題して、「人形遣いの人形遣い」

この舞台には沢山人形が登場します。
主役の中西陽介は劇中、その人形達を操ります。
ちゃんと操らないと人形遣いにはみえません。
だから毎日猛練習しています。



人形の操作を指導して下さっている井上幸子さん。



そして、その人形を作って下さっている佐久間さん。

お二人は、人形劇団プークの方。
井上さんはプークさんの代表です。
プークさんは、1929年創立の老舗劇団。
新宿には、人形劇を専門に上演する「プーク人形劇場」があります。

若い頃、プーク人形劇場に、プークさんが招いたチェコの若い人形遣いのお芝居を見に行きました。
その人形遣いは、人形を持たずに舞台に現れました。
そして、ポケットから一枚のハンカチとピンポン球をひとつ取り出し、ピンポン玉をハンカチで包み、紐で結んでテルテル坊主のようにすると、垂れ下がったハンカチの四隅の内の二隅に紐を結びました。
そして、その数本の紐を上にあげた瞬間、ピンポン玉とハンカチが妖精のように動き出したのです。
アッと息をのみました。
その可愛らしいこと!
まるで人形遣いが新しい命を生み出した瞬間を見たようでした。

人形遣いと創造主の神。
「ポーランドの人形遣い」の劇中で主人公は、そのことに触れます。
それは、この作品の中で大きな意味を持ちます。
主人公の操る人形が本当に生きているように見えた時、この物語は、とても楽しく、そして悲しく、胸を打つものとなるのです。
人形たちに命を吹き込むため、中西は日々、奮闘中!

昨日から通し稽古が始まりました。
初日まで残り2週間。
ご期待ください!

昼の部は全て売り切れ。初日(19時)も売り切れました。
他の夜の部はまだお席がございますが、ご予約はどうぞお早めに!
ご来場をお待ち申し上げております。

| 稽古場日記::ポーランドの人形遣い | 10:13 | comments (x) | trackback (x) |
プロンプター
「ポーランドの人形遣い」の宮本充です。

先日、初めて「粗通し」をしました。
「粗通し」とは文字通り、粗い通し稽古のこと。
細部はまだ出来上がっていない段階で、一度、最初から最後まで通してみるのです。
そして全体を見て、再び細部の稽古に戻ります。
そうやって少しずつ「通し稽古」に近づいて行くのです。

この時期、とても大切な、そして大変な仕事があります。
プロンプター。
演技者が台詞を忘れた時に教える仕事。

この時期は、演技者もまだ台詞が完全には入っておらず、さらに台詞や動きやタイミングなどの細かい変更もあり、演技中に台詞が出てこないことが頻繁にあります。
特に「ポーランドの人形遣い」は台詞劇。
長台詞も多いのです。
プロンプターは、稽古中、台本を手にじっと演技者を見ながら、台詞が止まった時は、演技者の表情から、それが演技的な間なのか台詞を忘れたのかを瞬時に読み取り、忘れたと判断した場合はサッと自分の台本に目を移し、速やかにその箇所を伝えます。
大変な集中力が必要です。
プロンプターは無意識の内に、演技者と同じ呼吸をするようになります。

台詞の伝え方もまた難しいのです。
台詞を忘れた時、演技者はちょっとした緊張状態にあります。
その時に早口で教えても、演技者の耳には入りません。
優しく、丁寧に、そして簡潔に。
簡潔にといっても、例えば、「おお、憎まずにいられるものか。この町のお歴々が三人、親しく奴に会って、この俺を副官にと頭を下げて頼んでいるのだ」という台詞を演技者が忘れたとすると、台詞の頭の部分の「おお、」だけを伝えても演技者は台詞を思い出せない場合があります。
「おお、憎まずに…」までを、その次の言葉を促すように伝えると、演技者は自然に「…いられるものか。この町のお歴々が…」と、次の台詞が出て来るのです。

プロンプターにはある種のセンスも必要なのです。
そして瞬発力も。
さらに、それらを持続する体力も。

僕も若い頃にプロンプターをやりましたが、稽古中ずっと集中力を持続するのは大変でした。
先輩達が完全に台詞を覚えていてプロンプターの必要がない場面は、ひそかに緊張を解ける「息継ぎタイム」でした。
でも、プロンプターはとても勉強になりました。
演じている先輩と同じ呼吸で、テンポ、ブレスの位置、強弱などを体感できるのですから。特にシェイクスピアの長台詞は本当に勉強になりました。



数日前の稽古の写真。
彼はプロンプターの遠藤鮎喜。
(現在昴には遠藤が三人になりました。遠藤英恵、遠藤純一、遠藤鮎喜)
今年、研修生になったばかりのピカピカの一年生。
集中している横顔をこっそり撮ろうと稽古場の陰からカメラを向けたところ…
こら、こっち見るな!
彼もきっと「息継ぎタイム」だったのでしょう。

ちなみに遠藤(鮎)はシェイクスピア好きとのこと。
何かやりたい芝居があるか聞いてみました。

「『ヘンリー4世』です!」
渋いね~。役は?
「ハル王子がやりたいです!」
頑張れ!
「ホットスパーもやりたいです!」
ちょっとキャラが違うかな…
「フォルスタッフもやりたいです!」
全然、違うよ!


| 稽古場日記::ポーランドの人形遣い | 01:56 | comments (x) | trackback (x) |
出演者紹介 2
「ポーランドの人形遣い」の出演者の宮本充です。
前回に引き続き、出演者の紹介です。



牛山茂。
「アルジャーノンに花束を」の初代チャーリー。
よく響く魅力的な声は、時には愛らしく、時にはクールに、そして最後は切なく、三百人劇場の満員の観客を魅了しました。
舞台は大ヒットし、その後、日本各地を巡演しました。
ここ数年、劇団朋友の舞台「ら・ら・ら」の客演(原日出子さんの夫役)で全国各地を回っていますが、今でも旅先でお客様から、当時の「アルジャーノンに花束を」の話が出るそうです。
こうしてずっと人の心に残り続けるというのは役者冥利に尽きるのではないでしょうか。(僕も覚えてますよ!)

さて、このコーナーはあくまで僕の個人的意見を書いていますので、以後は後輩として「牛山さん」と、紹介させてもらいます。

牛山さんは長野県の諏訪市出身。
何と小学生の頃から、上京して舞台に立つことを夢見ていたそうです。(少しおかしいんじゃないの?〈本人談〉)
高校時代は演劇部に所属。
すでにその頃からシェイクスピアを!

高校を卒業後、上京。池袋の「舞台芸術学院」で基礎技術を学び、シェイクスピアをやるために(本人談)、劇団「雲」(昴の前身)に入団。
最近のシェイクスピア作品では「リア王」(2014年)のグロスター伯が記憶に新しいところ。

牛山さんの母校は長野県立茅野高校。
昴の若手、矢﨑和哉は高校の後輩です。
劇団内に、同じ高校の後輩がいるのは、東京の高校ならまだしも地方の高校では珍しいこと。
頼もしい後輩が入ってきましたね、牛山さん!

高校の同級会には、仕事が重なったりで、今まで一度も出席したことがなかったそうですが、この夏に開催された蓼科映画祭での、アニメ「この世界の片隅に」の舞台挨拶(北條円太郎役)のために帰郷した折に開かれた同級会に、約半世紀ぶりに出席。
誰なのか分からない同級生もいたそうで…半世紀ぶりですからね。
ちなみに長野県では「牛山」は「し」の音を高くして発音するそうです。

前回は中西陽介を「寡黙」という言葉で表現しましたが、牛山さんを一言で表現するならば、「饒舌」
牛山さんは気配りの人。
稽古場でも、宴席でも、すばる倶楽部のお茶会でも、軽妙なお喋りで、周りの人達を楽しく和やかにさせてくれます。
本人曰く「俺は争いごとが大嫌い。みんな楽しく行こうよ」

永遠の演劇青年。
劇団の人気者。(ホントか?〈本人談〉)
そんな牛山さんにぴったりの今回の役。
人柄がにじみ出ています。
ご期待下さい!


お陰様で、昼の部は全て売り切れとなりました。
夜の部はまだお席がございます。
上演時間は1時間40分ほどの予定。
終演後もお時間に余裕がございますので、ご予約がまだの方は、是非、夜の部もご検討ください。

| 稽古場日記::ポーランドの人形遣い | 01:02 | comments (x) | trackback (x) |
俳優紹介
「ポーランドの人形遣い」出演者の宮本充です。
稽古は順調!早くも立ち稽古に突入しました。

4人の出演者を紹介します。
まず今回は主役の中西陽介。



彼を言い表すのに適した言葉を考えたところ、浮かんでくるのは、

「好青年」
ご覧の通りの美男子。そして好男子。

「真面目」
ちょっと、真面目すぎるかも…

「寡黙」
彼は本当に無口!
話しかけても微笑んで一言答え、
決して大声で笑ったりはしゃいだりなんてことはしません。

そして特筆すべくは「声帯」
彼は強靭な声帯の持ち主なのです。
2013年に俳優座劇場で上演した「汚れた手」。
その時も彼は主役でした。
サルトルの硬質な長台詞の連続。
時にはエキセントリックに叫びながら。
公演期間中も毎日、幕が開く前に数時間の稽古。
彼が楽屋でくつろいでいる姿を見たことがありませんでした。
彼の喉が最後までもつかどうか、みんな心配していました。
でも彼はちゃんと千秋楽まで舞台をつとめあげました。

本当に「汚れた手」は大変な芝居でした。
舞台一杯に広がったビルの3階分くらいはありそうな白い階段。
演技エリアはそれだけ。
その階段を駆け上ったり走ったりしながら、彼はほとんど出ずっぱり。
さらに幕切れには、階段の最上段から後ろ向きに転がり落ちて行くのです。

今回の顔合わせの時、彼に聞いてみました。
「どう?『汚れた手』に比べたら今回は少しは楽?」
彼は一言、「いえ、そんな…」

今回は叫び続けることもなく、階段落ちもありません。
でも精神的には、かなりきつい筈。
そういう役なのです。

でもね、中西。主役とはそういうもの。
僕含め他の3人のキャストは君を支えていくからね。
たまには泣き言も言っていいよ。

二言でも、三言でも。

| 稽古場日記::ポーランドの人形遣い | 09:42 | comments (x) | trackback (x) |
顔合わせ
皆様こんにちは!
「ポーランドの人形遣い」の出演者、宮本充です。
いよいよ稽古が始まりました!
先日、キャスト・スタッフ一同が集まり、顔合わせが行われました。
しかし実はすでにそれに先立ち、演出家と役者だけで数回稽古をしています。
(主役の中西陽介はもっと前から演出家と何度も)
そして、それぞれが顔合わせの日までに自分の役を熟成させてきました。
顔合わせは、そのお披露目の日でもあります。
共演者がどのように役作りをしてきたか、それを知るのも楽しみなのです。



顔合わせの模様。
場所は我々の根城、Pit昴。
「ポーランドの人形遣い」の上演会場でもあります。
皆が座っているのは舞台の上。
もうすでに舞台が組まれているのです。
ちょっと見えませんが、手前は客席。
稽古が進むにつれ、ここに少しずつ小道具が運び込まれ、大道具が組まれ、効果音が加わり、照明が入り、役者の演技も少しずつ深まり、そして舞台稽古を経て、初日を迎え、お客様がこの客席を埋める…と想像するだけでドキドキしてきます。
ドキュメンタリー番組でよくあるように、この位置から定点カメラで、その様子を一気に早回しで映したら面白いだろうな。
などと呑気なことを言っていられるのも今の内。
これから地獄の(そして楽しい楽しい)稽古が始まります。
その様子を皆さまにお伝えします。
とは言え出演者はたったの4人。
毎日は難しいので、時々。
でもなるべく頻繁に更新します。
どうぞご期待下さい。
さて、早速で申し訳ないのですが、以下の回が売り切れとなってしまいました。

11日(土)14時
12日(日)14時
14日(火)14時
16日(木)14時
21日(火)14時
26日(日)14時

ご予約はどうぞお早目に!

| 稽古場日記::ポーランドの人形遣い | 00:44 | comments (x) | trackback (x) |

  
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