正義の仮面
“再”追加公演までもチケットは完売!
有難いやら嬉しいやら音符

調子に乗って今回も余談がほとんど、話がソレまくるであろう永井“ソレイニオー”誠が、本日のブログをお送りします。

一応、当欄への寄稿にあたっては、
「なるべく『ヴェニスの商人』か『Pit昴(もしくは大山商店街)』にからめて書くべし。」…とのお達しが、ブログ係長である大島“ランスロット”大次郎より出ております。

ま、からんでりゃイイわけですヨ、ちょっとでも。ちょいと触れときゃあとは書きたいことを書いてよし、と。
ああからめるさ、からめてやるともっ!…と、大島にカラんでも始まらない、

では早速、
前回『ヴェニス』にからめて書きましたので(大部分が手塚マンガの話でしたが)、
今日は『Pit昴』にからめてみせましょうとも!

さて皆さま、いきなりですが、

『○○○○仮面』。〇○○○に一文字ずつ入れるとしたら、どんな4文字が浮かぶでしょうか?

日本人の多く、特にご年配の世代は『げっこう』とお答えになるでしょう。
『月光仮面』。はい正解。

が、同じ質問を劇団内ですると、『ガラスの』という答えが出たりするのです。ある年代以上の女優陣にとって『ガラスの仮面』は永遠のバイブル。これも正解。

それでは、
順序を変えて
『仮面○○○○』だとどうでしょう?

…これはもうね、答えは一つしかないわけですよ。

正解は、ライダー。

『仮面ライダー』。
なんとも郷愁を誘うその響き。もはや独立した固有名詞として認知されているでしょう…辞書には載っているのかな?
いつぞやの紅白で、司会の若大将が少年隊の曲名として叫んでしまったのもむべなるかな。。

わが幼少期、最大のヒーローでした。
毎週土曜7時半からの血沸き肉踊る30分間。続く『8時だよ全員集合』が終わるまで、当時のガキんちょは皆テレビの前に釘付け。

ライダーの「へんっしん…トゥ!!」と
加トちゃんの「ちょっとだけよ音符」を
何度もマネて、月曜日に備える。

今思えば、人前で“自分ではない何か”になる喜びの、原体験だったのかもしれません。

ちなみに、仮面ライダーの変身ポーズが登場したのは、2号ライダーから。

なので、僕が夢中になったのも、“居合い&コーヒーの達人”こと藤岡弘さんが演じられた1号ライダー=本郷タケシではなく、

“一文字隼人(いちもんじはやと)”こと2号ライダーでした。


…えーと…
…読者の皆様、ついてきてます??
あとちょっとで『Pit昴』に繋がるはずですので、信じて読み続けてくださいね。

で、話を戻して、
その一文字隼人を演じられたのは『佐々木剛さん』とおっしゃる俳優さんなのですが…

不慮のアクシデントやお怪我などが重なり、長く第一線を離れていらしたとのこと。

しかしようやく体調も戻られ、現在は主に時代劇の舞台などで御活躍。(僕も2作品ほど拝見しました)

そして俳優業の傍ら小料理店を開き、時に自ら腕をふるっていらっしゃる…

その名も、居酒屋『バッタもん』。

いささか変わった店名の由来は、無論いかがわしい料理を出すからではなく、仮面ライダーが“バッタ”を改造した人造人間だった事に掛けて。

「ライダーの必殺技がキックなのは、バッタだったからなんだぜ!」
…などと“昴随一の特撮好き”こと佐々木“グラシャーノー”誠二先輩と共に、宮島“アラゴン王”岳史に講釈しながら、とある稽古後に商店街を連れ立って歩いていたら…

あらま!あるじゃありませんか。




そうなのです。居酒屋『バッタもん』は大山商店街=遊座大山の真ん中あたり。

まだ明るい時間で看板は灯っておらず。
「公演終わったら予約して行こう!」という事になっておる次第。

仮面ライダーファン垂涎の秘密基地から、わずか徒歩5分です!『Pit昴』音符
…っと。とりあえず『Pit昴』に繋がりましたけど…
えー…
ブログ係長・大島の浮かない顔が思い浮かびますので…

じゃあまあ『ヴェニスの商人』についても、あらためて語りましょうかね、前回はあんまりだったんで。

戯曲の分類から言えば喜劇なのだそうですが、他の純粋な喜劇作品に比べると笑わせ所が少ないような…。

手元にある某文庫のカバー裏の寸評には
「時代を越え、さわやかな感動を呼ぶ」とありますが、
…果たして、“さわやか”だけですかね?後味は。




今公演のチラシ&リーフレットの絵柄も、カラフルで楽しげ…ではありますが、
キャッチコピー(?)として「悪って何?」「悪人って誰?」と、なにやら謎めいた言葉が。。

“悪”と言えば、この作品にはシェイクスピア作品中でも最も名高い悪役・ユダヤ人のシャイロックが登場します。

悪役…。ほんとに“悪”なんですかね?

とあるシェイクスピアの解説本に依れば、その悪役度は『リチャード三世』のグロスターや『オセロー』のイアーゴーと並んで横綱クラスとか。

確かにグロスターとイアーゴーは紛れもなく悪人でしょう。かたや大量殺戮。こなた殺人教唆。
いわんや独白で「これから悪いことをしてやるぜ」と宣言しちゃいますからね。確信犯。

それに引き換えシャイロックは、最悪に見積っても殺人未遂。
しかも、その独白を要約すれば「俺はアントーニオが嫌い。ユダヤ人だからといってずっと酷い仕打ちを受けてきた。いつか報復してやる。」

…これ、悪なんですかね?
共感すらしてしまうんですけど。

劇中シャイロックが言う「皆さん、家に奴隷を飼っていらっしゃる」という台詞からも分かるように400年も昔に書かれたお話ですから、人権に対する考え方そのものは、おそらく今とは全く違うでしょう。

しかし、
多数派が、意に沿わぬ少数派に自らの正義を押し付ける様は、現代も世界のそこかしこで見られる光景。

かつて、とある大国が敵対する数ヵ国を『悪の枢軸』と名指ししたとき、僕は何の疑いも持ちませんでした。自分は多数派であり、正義の側にいるのだと。

しかし殊にここ数年、どうやら世界はそんなに単純ではないらしい事に…皆が気付き始めたのではないでしょうか。

例えば昨今の中東情勢。
その背景にはそれぞれの宗教・宗派の違いの他に、かつて列強と呼ばれた先進諸大国による積年の干渉も、複雑に影響している事実が報道されています。

いずれの立場も「自らが正義」と言います。
「報復だ」とも。
そして、「俺は悪役、悪いことしてやるぜ」とは、決して言いません。。


ちなみに演出の鵜山さんは、シャイロック及び敵対する人々の間には『差別』はあるものの、その『善・悪』については(おそらく“敢えて”)決め付けた解釈を一切なさいませんでした。

俳優陣が時たま話し合ったところで結論の出る筈もなく

極めてシンプルに演じた上で、観ていただいたお客様にご感想をお持ち帰りいただきたいと思っています。

『仮面ライダー』は“正義”で、
『ショッカー』は“悪”…。

子供の頃に思い描いたように、この世界が単純なものならば…いつかは平和が訪れると信じられるのですが、ね。。

永井誠
| 稽古場日記::ヴェニスの商人 | 23:54 | comments (x) | trackback (x) |

  
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